4. インプラント治療
2021年9月2日
大阪にあるインプラントセンターで5年間研修を積み、今月より診療に従事させていただく 院長の長男(仲尾泰彦)が、インプラントについてお話をさせていただきます。
乳歯を第一の歯、永久歯を第二の歯とするならば、第三の歯とも呼べるのがインプラントです。インプラントは歯を失った部分の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に歯冠を作るという治療です。
今までは、永久歯を失うと入れ歯かブリッジという処置を行うことしかできなかった歯科の治療に、画期的な治療としてインプラントという治療が生まれました。当初は顎の骨に異物を入れる為、なかなか骨に定着せず駄目なもののように考えられていましたが、技術の進歩によってチタン金属を取り入れる事で顎の骨となじみが良くなり、第三の歯として確立されて来ました。
○ インプラントの利点
ブリッジとの比較
- 歯を失った部分の前後の歯を削らなくてよい
歯は削れば削るほどその歯の寿命が短くなる - 歯を失った部分にかかる力を前後の歯で支えなくてもよい
ブリッジで治療すると失った歯の前後あわせて3本なら、その3本分の噛み合わせで掛かる力を、前後2本の歯根で支えなければならなくなる
入れ歯との比較
- 入れ歯のようにはずす必要がない
夜にはずすとか、くっつく食べ物で外れることなどがない。 - 噛んでも痛くない
入れ歯は歯茎の上にのった状態で機能するので、硬いものを噛んだり、入れ歯と歯茎の間にものがはさまると痛みを感じ、その上傷が出来たりする。 - しっかり噛める
歯茎は柔らかい組織なので、その上にのった状態で機能する入れ歯では、噛んだ力で歯茎が沈み込み力が逃げてしまうのでしっかり噛めない。 - 他の歯がダメージを受けない
入れ歯は、先に書いたように力が逃げてしまうので、噛み合わせの力を受け持つことが出来ず残っている他の歯に、歯を失う前よりも大きな力が掛かりダメージを与えることになる。
放置することとの比較
- 噛み合わせが崩壊しない
歯が抜けたところを放置することによって、前後の歯はその隙間の方向に倒れて隙間を埋めようとし、噛み合わせの歯は、歯を伸ばすことによって隙間を埋めようとするので、大幅に噛み合わせが変わり、最後には噛み合わせの崩壊につながる。 - 残りの歯がダメージを受けない
歯を抜けたままにしておくと、今まで噛む力を支えていた歯の数が減ることになるので、残りの歯がどんどんダメージを受けていく。 - 顔が歪まない
歯が無くなったままにしておくと、歯の無い側の顎が短くなり、その上噛めない方の顔の筋肉も衰え、顔の歪みにつながる。
○ インプラント治療の流れ
- インプラント埋入手術
まず歯を失った部分の骨に人工の歯根(インプラントフィクスチャー)を埋め込む手術を行う - 治癒及び骨結合待機期間
埋め込んだまま、歯茎の傷が治るのと、埋め込んだ人工の歯根(インプラントフィクスチャー)を周りの骨がしっかりと取り囲むのを待つ(8週間から24週間) - 歯肉貫通処置
骨の中に埋め込んだ人工の歯根(インプラントフィクスチャー)を、歯肉貫通装置(インプラントアバットメント)を用いて歯肉の上に出るようにする - 型取り
歯肉の上に出した装置(インプラントアバットメント)の型取りを行う - 歯冠部装着
型取りを行った模型を用いて、歯冠部分を作成し装着する
新しいインプラントの手術方法
従来の手術は、骨がある場所にドリルで穴を開け、その穴に人工の歯根を埋入して骨と密着させる。その上に歯冠を装着する方法です。
ということは、骨が無ければインプラントは出来ないのです。そのために現在では薄い骨の部分を押し広げて埋入させる方法も開発されました(O.A.M.インプラント法)。この技術を用いることで、ドリルで穴の開けられないような薄い骨にもインプラントを埋入することができるようになりました。骨が薄いことで手術を断られた人にもインプラントができる可能性が広がりました。
その上この方法を用いると、ゴリゴリと削られる感じも少なく、恐怖感も薄いので、手術という感じがしないぐらいの処置で埋入処置を受けられます。